Hisahiro介護事業コンサルティング
▼組織コンサルティング


現在は、介護施設や医療機関を対象とした「理念浸透研修」を主軸に、コンサルティング事業を行っています。
多くの組織で「理念」は掲げられていますが、それが現場スタッフの具体的な行動にまで落ちているケースは稀です。
朝礼で唱和していても、いざ忙しくなると業務優先になってしまうのが現実だからです。
私の事業の強みは、「理念を細分化し、自分ごとの行動レベルまで落とし込むワークショップ」にあります。
例えば、「自分らしさを大切にする」という理念があったとします。
言葉で言うのは簡単ですが、私の研修ではまず「あなたにとっての“自分らしさ”とは何か?」をスタッフ自身に言語化してもらいます。
自分たちの価値観をすり合わせ、その上で「では、入居者様の“自分らしさ”を守るにはどう動くべきか?」を議論する。
こうして抽象的な理念を具体的な行動指針(判断軸)に変えることで、迷いのない強い組織を作ることができるのです。

私が独立を決意した原点は、かつて施設管理者として味わった強烈な「後悔」にあります。
当時、私の施設には二人のスタッフがいました。
一人は入居者様の気持ちに深く寄り添える感受性の高いスタッフ。
もう一人は、業務効率を最優先し、主張が強いスタッフです。
ある時、この二人の意見が対立しました。
私は「良い施設にしたい」と思っていたにも関わらず、結果として声の大きい「業務効率」の論理が勝り、心優しいスタッフの方が職場を去ってしまったのです。
本来、介護は人の想いに寄り添う仕事です。
しかし、明確な判断軸(理念)が浸透していない組織では、どうしても「回すこと(業務)」が優先され、「想い」を持った人が疲弊してしまいます。
「もう二度と、あのような悲しい離職を生みたくない」。
その想いから、正しい判断軸を組織に根付かせるための活動を始めました。
過去、M&A(合併・買収)によって運営母体が変わった施設の管理者を任された時が一番辛かったですね。
現場に残っているスタッフからすれば、私は「買収した企業から送り込まれてきた敵」のような存在です。
彼らには彼らが培ってきたプライドや文化がありますから、最初は全く受け入れてもらえませんでした。
しかし、そこで私は決して彼らを否定しませんでした。
「このやり方はおかしい」と頭ごなしに言うのではなく、スタッフからの提案を「それいいね、やってみよう」と一度すべて受け入れるスタンスを貫いたのです。
忍耐が必要な時期でしたが、対話を重ね、小さな改善を一緒に積み重ねることで、次第に「この人と一緒に仕事をするのが楽しい」と思ってもらえるようになりました。
1年半後には、全員が笑顔で働けるチームになれた。あの時の経験は、今のコンサルティングの基礎になっています。
介護現場における「トイレ誘導」を例に挙げるとわかりやすいと思います。
業務優先の現場では、スタッフが時間を管理し「10時になったのでトイレに行きますよ」といきなり連れて行きます。
これはこちらの都合であり、入居者様の主体性を奪う行為です。
私が大切にしているのは、まず居室をノックし、「今、お時間よろしいですか?」と伺いを立てること。
その上で提案し、ご本人に決めていただくプロセスを踏むことです。
「そんな時間は現場にない」と言われることもあります。
しかし、どれだけ忙しくても「ここだけは崩してはいけない」という一線を守ることが、結果として入居者様の安心に繋がり、スタッフにとっても「誇れる仕事(幸せな仕事)」になると信じています。


現在は私個人で動いていますが、将来的には同じ志を持つ仲間を集め、組織としてこの活動を広げていきたいと考えています。
介護職を「辛くて大変な仕事」だと思って働いている人は少なくありません。
しかし、本来は人と人が心を通わせる、素晴らしい仕事のはずです。
「理念浸透研修」を通じて、優しさや感受性を持ったスタッフが生き生きと働ける施設を日本中に増やすこと。
それが、この事業を通じて成し遂げたい私の使命です。

個人事業主として独立してから、様々な経営者や働く方々と出会う機会が増えました。
私はやっぱり、人が持っている「想い」や「熱量」に触れるのが好きなんです。
人の気持ちを大切にしたい、社会を良くしたい。
そういった本音で語り合える仲間を増やしていきたいですね。
仕事の枠を超えて、互いの人生観や哲学を共有できるような、そんな人間関係に囲まれた人生を送ることが、個人としての目標です。


