株式会社人材研究所

エースオブカンパニー

株式会社人材研究所

人のチカラを
組織のチカラに
代表取締役社長曽和 利光
株式会社人材研究所
人事コンサルティング
採用コンサルティング

事業内容と事業の強みを教えてください。

我々は人事コンサルティングと、それに伴う採用アウトソーシングを事業の柱としています。売上の約7割がコンサルティング、3割が採用アウトソーシングという構成です。
人事コンサルティングでは、採用から育成、評価、報酬、配置、マネジメント力向上、メンタルヘルスまで、人事に関するテーマであれば何でも扱います。クライアントは、自動車メーカーやメガバンクといった大手企業からメガベンチャー、スタートアップ、さらには学校、医療機関、自衛隊、市役所まで、業界・規模は本当に様々です。「組織」がある限り、そこに存在する何らかの課題を解決するのが私たちの仕事です。
私たちの最大の特徴は、提供するコンサルティングが、既製品やパッケージではなく、クライアント一社一社に合わせた「完全なフルオーダー」であることです。そして、もう一つの大きな特徴が、一部のコンサルティング会社に見られるような「特定の理想の組織像」といった“思想”に偏らず、科学的なアプローチを重視している点です。
私たちは、成功している組織の形は一つではないと考えています。重要なのは、その会社の文化や事業に合った「一貫した人事システム」を構築すること。そのために、ファクト(データ)とロジック(統計分析)、そしてセオリー(心理学・組織論)を組み合わせた科学的なアプローチを徹底しています。
近年注目されるピープルアナリティクスを活用し、単なる勘や経験ではない、データに基づいた配置の最適化や離職率の改善などを実現しています。心理学や組織論といった普遍的な理論をベースに、データが少ない場合でも論理的な予測を立てていく。これが、私たちの提供するコンサルティングの根幹です。


起業までの経緯を教えてください。

私はもう30年以上、人事の仕事しかしていません。リクルートで15年、ライフネット生命、オープンハウスを経て、2011年に人材研究所を立ち上げました。キャリアの前半は企業に属し、その企業の人事として理想の組織を作る手伝いをしてきました。起業後は、外部からより多くの会社の組織の悩みを解決する立場になりましたが、やっていることは一貫して変わりません。
起業の大きなきっかけは2つあります。一つは、リクルートという起業家を多く輩出する環境に身を置いたことで、「自分にもできるのでは」という変な自信がついたこと。そしてもう一つは、40歳という人生の節目と、当時起こった東日本大震災です。
40歳はユングの心理学でいう「人生の正午」にあたります。これまでの人生を振り返り、この先どう生きるかを考えた時、これまでの「誰かの理想の組織作り」を手伝うのではなく、「自分が思う良い会社を自分で作ってみたい」と思ったんです。
本来、業種は何だって良かったのかもしれません。しかし、私にできることは人事しかない。だから、「会社を作りたい」という目的が先にあり、その手段として人事コンサルティングという今の形になった、というのが正直なところです。


仕事を行う上で大切にしている事を教えてください。

クライアントファーストはコンサルタントとして絶対条件です。しかし、私たちはそこに「社会性」を持たせたいと考えています。
リクルート時代は「リクルートがうまくいくため」の人事を考えていました。しかし、キャリアを積む中で、社会に対して価値のあるものを提供している会社こそが、結果的に成功するという流れを痛感するようになりました。これは人事も同じです。
私たちは、採用活動は「個人と企業がマッチングし、社会における適材適所を実現する壮大なシステム」だと捉えています。自己中心的な採用活動ではなく、「社会最適」を考えた採用、つまり世の中にとっても良い採用をする会社こそが、人気を集め、結果的に良い人材が取れるという自社最適にも繋がると信じています。
我々がクライアントを支援し、その会社の採用や人事が良くなることで、それがニュースになったり、他の企業に真似されたりすることで、世の中に人と組織のより良い関係性、ムーブメントを広げていきたいという強い想いがあります。
特に少子化が進む現代では、企業にとって人は取りにくくなりますが、これは裏を返せば、「人が大事にされる世の中になる」ということです。かつてのように「お前の代わりはいくらでもいる」という時代は終わりました。これからは、「取った人を大事に育て、活かしていく」会社しか生き残れません。大変な時代に直面する経営者を助けることは、結果的に「個人を大事にする会社」を作ることに等しいのです。


今までで一番辛かったことを教えてください。

今までのキャリア全体を通して言えば、やはり「人を切りまくる仕事」をしていた時ですね。
事業会社で採用を担当していた頃、特にリクルートの最終面接官をしていた時は、入社したいと強く願う多くの候補者を「落とす」仕事でした。選抜の論理に基づき、ハイパフォーマーだけを選び抜く作業は、やはり辛いものでした。
その経験があるからこそ、今の会社では「選抜の論理ではなく、育成の論理でやっていきたい」という思いが強いです。当社のミッションは、「人と組織の可能性の最大化」。私たちは「イけてる人」だけを集めるのではなく、どんな人でも入社後に成長できるような組織にしたいと考えています。だからこそ、新卒採用を重視し、ポテンシャルを開花させることに力を注いでいます。
また、採用や配置に関わった方が、ミスマッチや配置ミスによってキャリアでつまずいてしまった時も辛かったですね。その人の人生に影響を与えてしまったという罪悪感は、ゼロにはなりません。だからこそ、私たちは、他社が敬遠しがちな、例えばメンタルヘルスで離職した経験がある人であっても、その人の本質的なポテンシャルを見て採用しています。環境を整えれば活きる人はたくさんいますし、他社が採用しない人こそ、私たちが活かせる人材だと考えています。


企業としての最終目標を教えてください

当面の目標は、独立系・専業の人事コンサルティング会社として、日本一になることです。
現在30名ほどの会社を、まずは100名規模にしたい。特にシニアマネージャーを現在の約3倍、10名ほどに育成したいと考えています。この規模になれば、日本社会に対して一定のインパクトを与えられる集団になれると見ています。
この目標達成のボトルネックは、まさに「人材の育成」です。私の残りの経営者人生は、「イケてる人事コンサルタントを育てる」ことに捧げたい。これが私個人の最終目標でもあります。具体的な数字を言えば、5年から10年以内にこの組織体制を作り上げることです。
その先、当社が人と組織の可能性を最大化するというビジョンを達成するためには、コンサルティング会社である必要すらないかもしれません。5年後、10年後に人事の世界がどうなっているかは分かりません。AIのような技術も進化するでしょう。その時に豊富なリソースを持った第二世代の経営者が、時代の変化に合わせて最適な形でビジョンを実現してくれればいいと思っています。


今後個人としてチャレンジしたい事を教えてください。

54歳になりましたが、「人生100年時代」と言われる中で、まだまだ挑戦したいことはあります。独立系で日本一のコンサルティング会社を作り上げることができたら、次は別のことに挑戦したいですね。
私はこれまで20冊ほどの本を執筆してきましたが、今は人事という専門領域に特化した実用書や専門書が中心です。今後は、もう少し「物を書く」活動の幅を広げていきたいと考えています。
具体的には、人生や幸福、ウェルビーイング、パーパスといった、人事に深く関わりながらもより普遍的なテーマについて、講演活動や著作を通じて発信できるようなポジションを目指したいですね。
また、最近は社会全体への興味も湧いてきました。若い頃は人の頭の中にしか興味がありませんでしたが、今は「日本はどうあるべきか」「社会はどうしていったらいいのか」といった政治、経済、国際問題にも関心があります。
今後は、自分の会社での活動に加え、社会性を持った活動も積極的に行っていきたいです。