
Q事業内容を教えてください。
私たちは「週末工芸」というサービスを中心に、伝統工芸と現代のライフスタイルを繋ぐ事業を展開しています。
簡単に言うと、伝統工芸品の制作体験を自宅で楽しめるキットの販売と、オンラインでのワークショップ提供です。 皆さん、「伝統工芸」と聞いて何をイメージしますか? 京都の着物や高価な壺などを思い浮かべるかもしれませんが、それらが日常生活でどう使われているかまでは、あまり意識されていないのが現状です。
例えば、3万円の万年筆があるとします。ただ店に置いてあるだけでは「高いな」で終わってしまう。しかし、その万年筆がどのような職人の技術で作られ、どれほどの手間がかかっているかを知り、さらに自分でもその一部を体験してみることで、その「3万円」の価値が腹落ちするんです。
私たちは、単に物を売るのではなく、キットを通じて「職人の技やストーリー」を体験してもらい、精神的な豊かさを提供することを目指しています。完成品が上手くできるかどうかよりも、作る過程で職人の凄さを知り、そのファンになってもらうこと。それが職人さんへの還元に繋がり、ひいては伝統工芸の継承に貢献できると考えています。
Q起業までの経緯を教えてください。
きっかけは2つあります。1つは、アイデアソンへの参加です。そこで生まれたのが「週末工芸」のアイデアでした。通常、こうしたイベントで生まれたアイデアは、イベント終了とともに消えてしまうことが多いんです。でも、私はこのアイデアをどうしても形にしたかった。「誰かがやらなければ消えてしまうなら、自分でやるしかない」という使命感のようなものがありました。
もう1つは、50歳を迎えた時のキャリアへの危機感です。定年までの残り15年、このまま同じ作業を繰り返すだけでいいのかと自問しました。周囲には新しいことに挑戦する知人たちも多く、彼らの姿に刺激を受けたことも大きいです。「人生100年時代、65歳までサラリーマンのままで終わらせたくない」という思いが、最後の一歩を後押ししました。
Q企業理念の決め手を教えてください。
Qrethonの社名はQuestion×Response×marathonの造語です。「問いの答えを出し続け。」という意思で考えました。正解が一つではない時代だからこそ、問い続け、反応し、そして走り続ける組織でありたいと考えています。
社名の「クレソン」は、ステーキなどの横に添えられている野菜のクレソンから来ています。クレソンは決して主役ではありませんが、料理を引き立て、栄養価も高い名脇役です。 私たちも同じです。主役はあくまで「職人」であり、私たちは彼らを支える「裏方」でいい。職人さんが輝くための土台となり、バックオフィスのような存在でありたいという想いを込めました。
Q仕事を行う上で大切にしている事を教えてください。
相手に興味を持ち、理解しようとすることです。
パートナー企業様であれ職人さんであれ、単なるビジネス上の取引相手として見るのではなく、その人の背景や想いを理解しようと努めています。
私は職人ではありませんし、今の段階では大きな利益を還元できるわけでもありません。だからこそ、信頼関係がすべてです。「この人のためなら」と思ってもらえるような関係性を築くことが、巡り巡って良い仕事に繋がると信じています。
Q企業としての最終的な目標を教えてください。
会社としては、「私がいなくても回る組織」にすることです。私個人に依存するのではなく、次世代のメンバーが理念を引き継ぎ、事業を継続していける状態を作りたい。それが本当の意味での「会社」だと思っています。
事業としては、単なる物販ではなく、「職人のファンコミュニティ」を作ることです。例えば、アイドルの推し活のように、「この職人さんが作ったから欲しい」「この職人さんを応援したい」という熱量を生み出すプラットフォームになりたい。現代の技術と伝統技術を掛け合わせる職人さんも増えています。そうした新しい伝統工芸の形を、世界中の人に届けていきたいですね。
Q今後個人としてチャレンジしたい事を教えてください。
まずは、今手がけている週末工芸をしっかりと軌道に乗せることです。
現在はまだ、私の頭の中にある構想と現実の実績に乖離があります。これを埋めていく作業を一つひとつ積み重ねていくしかありません。胸を張って「この事業で職人さんを支えている」と言える状態まで持っていくこと。それが直近かつ最大のチャレンジです。

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