
Q事業内容と強みを教えてください。
現在、「Chotto Matcha」という抹茶カフェをフィリピンで4店舗、そして日本の浅草にフラッグシップとなる1店舗を展開しています。メインで扱っているのは静岡のお茶農家さんの茶葉で、その素晴らしい品質を世界に届けることを目的としています。
私たちの強みは大きく分けて2つあります。
・若き姉妹起業家ならではの柔軟性と、トレンドを捉える力
・外国人のお客様に楽しんでいただける独創的なメニュー展開
海外では抹茶ラテが流行していますが、伝統的なお抹茶そのものはまだハードルが高いのが現状です。そこで私たちは、日本とフィリピンの文化をミックスした「紫芋抹茶」や「抹茶レモネード」、さらには「抹茶ラーメン」など、まずは興味を持って楽しんでいただける入り口をたくさん用意しています。浅草の店舗も、お客様の約8割がインバウンドの外国人観光客となっており、国境を越えて愛されるブランドづくりを得意としています。
Q起業・入社したきっかけを教えてください。
大きく2つの理由があります。
1つ目は、「お茶の農家さんを助けたい」という強い思いです。
私の祖父母が静岡に住んでいたこともあり、幼少期はお茶畑の近くをよく散歩していました。富士山と綺麗に整った茶畑の景色が大好きだったのですが、コロナ禍で日本に一時帰国した際、その茶畑が手入れされず荒れ果てているのを見て非常にショックを受けました。需要の減少や後継者不足から農家を畳む方が多く、「海外から見れば日本のクラフトマンシップはこんなにも尊敬されてかっこいいものなのに、なぜ日本ではお金にならず弱い立場になってしまうのか」と衝撃を受けました。だったら私が彼らのストーリーをフィリピンへ持っていき、新しいブランドを作ろうと考えたのが原点です。
2つ目は、「フィリピンの格差社会」を目の当たりにして育ったことです。
高校生の頃からフィリピンで生活してきましたが、現地ではどれほど良い会社に勤めても、時間や場所に縛られず豊かになるためには「起業家」になるしかないという社会の仕組みがあります。私の周りの同年代の友人たちも、親が起業家ばかりでした。自分たちも将来、自由にやりたいことを実現するためには起業という道が必然だと感じていたことも、背中を押す大きな要因となりました。
Q企業理念の決め手を教えてください。
「Crafting Authenticity, Sharing Tradition(本物を作り、伝統を共有する)」という言葉を掲げています。私たちが大切にしているのは「文化の再定義」です。
お茶の農家さんが100年後も生き残るためには、ただ昔と同じことを繰り返しているだけでは現代には残っていけません。伝統を共有するためには、時代に合わせたリブランディングや、新しい見せ方が絶対に必要です。現代の若年層や海外の方々にも刺さるような「新しい抹茶のあり方」を構築し、伝統を現代に残していく。これが私たちの揺るぎない理念となっています。
Q今までで一番辛かったことを教えてください。
飲食ビジネスにおける「人」の管理、とくにフィリピンでの組織づくりです。
店舗を拡大していく上で人が何より大事なのですが、文化や価値観の違いから生じるトラブルには本当に苦労しました。例えば、給料日にスタッフが一斉にいなくなってしまったり、フィリピン特有の「家族ファースト」の文化ゆえに、遠い親戚の事情などで急にお店を休むスタッフがいたりします。
また、私自身が若く、さらに外国人という立場であるため、一回りも二回りも年上で、現地の経験や法律に詳しいスタッフたちをうまく巻き込み、ひとつのチームとして牽引していくことには今でも多くの壁を感じており、日々試行錯誤の連続です。
Q仕事を行う上で大切にしている事を教えてください。
「一緒に頑張る背中を見せること」と「本質的なおもてなしを忘れないこと」です。
現在4店舗を展開していますが、自分が現場で手を抜けば、必ずスタッフも手を抜き始めます。自分が一緒に汗を流し、リーダーシップを取って行動しなければ周りはついてきません。
また、業務を効率化するための仕組み作りは大切ですが、ロボットのように回しすぎてしまうと、飲食業の根幹である「ホスピタリティ」を見失ってしまいます。人にしかできない温かみと、仕組み化の限界をしっかりと理解し、任せすぎず、血の通ったサービスを提供し続けることを常に心がけています。
Q企業としての最終的な目標を教えてください。
廃れていく日本の素晴らしい文化や技術を若年層に再定義し、「100年後も残る形」に昇華させることです。
抹茶が世界的なトレンドになったように、日本にはまだまだ知られざる伝統工芸品やプロダクトがたくさん眠っています。私たちがこれまでの飲食店経営で培ってきたフィリピンのモールとのコネクションや、現地の店舗スタッフの熱量を活かし、日本の魅力的なプロダクトを海外に届けるお手伝いをしたいです。単なる展示ではなく、実際に現地で販売し、リアルな顧客の声を拾うことで、海外進出の確かな足がかりを提供できる企業でありたいと思っています。
Q今後個人としてチャレンジしたい事を教えてください。
基本的に仕事がとても好きなので、「会社の目標=自分の目標」というタイプです。ですので、個人として全く別のことをやりたいというよりは、事業を軌道に乗せ日本の伝統を世界へ発信していく今の挑戦を全力でやり抜くことが、私にとって最大のチャレンジです。

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